ロマネスコはイタリアではおなじみの野菜ですが、日本ではまだまだ珍しい野菜になります。
黄緑色が鮮やかで、螺旋状の突起が幾重にも重なった変わった形をしています。
部分が全体と似ているこんな形状を「フラクタル構造」と言います。
食感はカリフラワーに近く、味はブロッコリーに近いと言われています。
品種は中生と晩生があり、冷涼地と暖地では種まきの時期が大きく異なります。
難易度
目 次
1・種まきのポイント
1-1 種まきの適期
1-2 おすすめの品種
1-3 ポットの大きさ
1-4 培土は購入する
1‐5 種まきのコツ
1-6 暑い時期の育苗管理
2.畑を準備するポイント
2-1 ロマネスコに適した場所
2-2 理想の土壌PH
2-3 畑の準備は早い目に
3.定植のポイント
3-1 定植前の準備
3-2 苗の大きさと株間
3-3 スムーズに活着させる
4.定植後の管理ポイント
4-1 活着を促す潅水
4-2 追肥で大きく育てる
4-3 病害虫の防除
4-4 収穫時期
1.種まきのポイント
1.適期の種まきが後の管理を楽にします。
品種により異なりますが収穫まで4カ月以上かかるので、暖地でも8月下旬までには種まきを行います。
中間地や暖地では、初霜が降りる頃より100~120日前を種まきの目安にすると良いでしょう。
例えば11月中旬に初霜が降りる地域であれば、7月末~8月初旬が種まきの適期になります。
「ロマネスコ栽培表」を参考にして、適切な時期に種まきするようにしましょう。
2.おすすめの品種
確立された品種は少なく、早生の「ネオ・スパイラル」、中生の「うずまき」、晩生の「スパイラル」が代表的な品種です。



3.ポットの大きさ

ポットでの育苗期間が30日程なので少し大き目の7~9㎝ポットを使用します。
苗床での育苗も可能ですが台風や大雨の時、すぐに非難させることができるポット育苗をおすすめします。
また、害虫予防の薬剤灌注処置は苗床育苗では行えません。
4.培土は購入しましょう。
5.種まきのコツ
購入した種まき用培土には水分が殆んど含まれていないため、水を撒いてもすぐには浸透しません。
たっぷり水を撒き一時間以上放置するか、水を撒きながらかき混ぜることで浸透させることが出来ます。
水が十分に浸透したら直径3㎝×深さ1㎝程度のくぼみを作り3~4撒きにします。
くぼみが隠れる程度の覆土をし、軽く潅水して完了です。
6.暑い時期の育苗管理
- 発芽までの約3日間は日陰に置き、新聞紙を被せるなど水分の蒸発を抑えます。
- 発芽したら日なたに出し、寒冷紗で覆うことで暑さと害虫を防ぎます。
- 日当たりの悪い場所に置くと徒長するので注意して下さい。
特に朝日の遅い場所は避けましょう。 - 気温が高い時期なので乾燥させないよう、毎朝潅水するようにしましょう。
夕方の潅水は徒長を促すので、潅水は朝に行います。 - 一週間ほどで本葉が見えてきますので2本に間引きます。
- 本葉2枚のころ1本立ちにし、より健全な苗を確保します。
- 台風や大雨の時は屋内に避難させると良いでしょう。
- 本葉5~6枚程の頃に定植となります。
2.畑を準備するポイント
1.ロマネスコに適した場所を選びましょう。
- 水はけが良く、日当たりの良い場所を好みます。日当たりの悪い湿った場所は避けた方が良いでしょう。
- 作障害があります。2~3年アブラナ科の野菜をつくっていない場所が適切です。
2.土壌PHは5.5~6.5が理想です。
酸性が強い場所では苦土石灰を多めに施し、PHを整えます。
施肥前にPHを測定することをお勧めします。
土壌PH測定器は高価で手が出せないイメージがありますが、比較的安価なものも存在します。
「シンワ測定 土壌酸度計 A 72724」などが人気で、家庭菜園で使用するには十分なレベルです。
3.畑の準備は早めに行いましょう。
定植の2週間前には施肥耕運を済ませ、苗がスムーズに肥料吸収できるようにしましょう。
- 元肥(1㎡当たり150g) (窒素:8 リン酸:8 カリ:8)の配合肥料
- 苦土石灰(1㎡当たり100g)
- 堆肥(1㎡当たり2~3㎏)が目安となります。
定植の一週間前から畝立てを行います。
一条植では畝幅60~80㎝、2条植では120~140㎝の平畝が基準になります。
水はけを良くするため、畝は高めの方が良いでしょう。
3.定植のポイント
1.定植前に準備すること
今まで順調に育ってきた苗も、定植後は害虫に侵される危険性が高くなります。
何の準備もしないと、必ずアオムシやヨトウムシの食害にあってしまいます。
そのため「防虫ネット」で侵入を防ぐか、プロも行っている薬剤の灌注処理を行います。

防虫ネットは定植後すぐに張り、裾は土を被せて隙間が無いようにします。
灌注処理は「プレバソンフロアブル5」の100倍液を前日に処理しておきます。
薬剤の灌注処理の方が効果は高いですが、無農薬にこだわる方は防虫ネットを張りましょう。
2.定植する苗の大きさと株間
定植する苗の大きさは本葉5~6枚の時に行って下さい。
この時が植え痛みせず、スムーズに活着してくれるタイミングです。
葉が大きくなるため、株間は45㎝位必要です。
3.スムーズに活着させる植え方
ロマネスコは比較的活着しやすい野菜です。
しかし、夏の暑い時期に乾いた土に植えてしまうと、根の水分が土に奪われ傷んでしまいます。
後でたっぷり水をやっても、傷んだ根は元通りにならないので活着が遅れてしまいます。
そのため植える前に土を湿らせておくことをおすすめします。
さらに日中よりも夕方、又は曇天の日を選んで植えると良いでしょう。


植え付けの手順
- ポットより少し大きめの穴を掘る。
- 植穴にたっぷり潅水し水が引くのを待つ。
- 根鉢を崩さないように丁寧に取り出し、双葉が埋まらないくらいに植える。
- 株元に土を寄せ軽く押さえて安定させる。(強く押さえると通気が悪くなります)
- 最後にもう一度タップリ潅水する。
4.定植後の管理ポイント
1.活着を促進させる潅水
ロマネスコは比較的活着しやすいのですが、暑い時期なのですぐに土が乾きます。
定植後の一週間程度は毎朝潅水を行い、活着を促進しましょう。
朝に水をやり、夕方に土の表面が乾いているのが理想です。
2.大きく育てるための追肥
外葉を大きくすることで花蕾も大きく育ちますが、ロマネスコは生育期間が長いため、追肥をしないと外葉を大きく育てることはできません。
定植後20~25日の間隔で3回行うと良いでしょう。
(窒素:8 リン酸:8 カリ:8) の配合肥料であれば、1㎡当たり60g程度が1回の施肥量になります。
追肥の後は軽く中耕し、株元に土寄せしておきます。
葉に化成肥料が付くと、葉焼けしますのですぐに取り除いて下さい。
3.病害虫を防除する
ロマネスコの病気については特に防除の必要は無いですが、害虫が付きやすいので注意が必要です。
ヨトウムシなどのイモムシ類が主な害虫で、生育初期から11月頃まで活発に活動します。
防虫ネットでもある程度防ぐことはできますが、葉が大きくなるためネットに収まらなくなることがあります。
害虫が大量に発生した時は、薬剤散布しないと対応しきれ無いので注意が必要です。
農薬を使用する時は、以下の表を参照して下さい。(カリフラワーの防除暦に準じています)
害虫の種類 | 特徴 | 農薬 |
ヨトウムシ類 アオムシ類 |
モンシロチョウや蛾の幼虫で葉を食害し穴をあける。 種類や幼齢によって緑色、褐色、黒など様々な色をしている。 |
プレバソンフロアブル5 ゼンターリ顆粒水和剤 |
コナガ幼虫 | 葉裏に小さく葉肉だけを食害する。 | スピノエース顆粒水和剤 アファーム乳剤 |
ハイマダラノメイガ | 夏~初秋に被害が多い。特に夏季高温、少雨の年には注意。 シンクイムシとも呼ばれている。 |
チューンアップ顆粒水和剤 |
4.収穫の時期
花蕾の直径が15㎝程度になったら収穫します。
うずまきは花蕾重が600~700ℊ、スパイラルが900~1,000g程度に成長します。
重さの違いは内部密度によるもので、スパイラルの方がぎっしり詰まっているので重くなります。
ただし、日数が経つと花蕾に隙間ができ、スカスカになるので取り遅れの無いようにしましょう。
まとめ
ロマネスコはまだ珍しい野菜なので、売っていない地域も多いですね。
いっその事、家庭菜園で作ってみてはどうでしょうか。
近所におすそ分けすると、喜んでもらえること間違いなしですよ。
栽培方法はカリフラワーに準じるところが多いので、比較的簡単に栽培できます。
害虫防除に気を付ければ、初めてでも失敗することは少ないでしょう。
栽培期間が4カ月を超える事もあるので、早い時期の種まきと、適度な追肥が成功のポイントになります。
以上、ロマネスコの栽培方法でした。 実際に栽培した記録もご覧ください。