白菜は中国が原産で冷涼な気候を好みますが、秋まきの時期が遅れると結球しないことがあります。
また早すぎると病害虫に侵される確率が高くなるので、種まき時期がとても重要な栽培ポイントになってきます。
適期に種まき出来れば、特に難しい作物ではありません。
難易度:
目 次
1.種まきのポイント
1-1 種をまく時期
1-2 作りやすい品種を選ぶ
1-3 ポットは小さくて良い
1-4 培土は購入しよう
1-5 揃って発芽させる
1-6 良い苗を育てるために
2.畑を準備するポイント
2-1 白菜の好む場所を選ぶ
2-2 土壌PHは6~6.5が理想
2-3 畑の準備は早い目に
3.定植のポイント
3-1 定植前の防虫対策
3-2 定植する苗の大きさ
3-3 定植時の株間
3-4 スムーズに活着させる
4.定植後の管理ポイント
4-1 定植後と結球前に潅水
4-2 大きく育てるための追肥
4‐3 病害虫の防除
4‐4 収穫の時期
4-5 冷害対策
1.種まきのポイント
1.種をまく時期が重要です。
早まきだと病害虫に侵されやすくなり、遅まきでは温度不足で結球しないことがあります。
適期に種まきすることが重要な栽培ポイントになります。
発芽適温は20~25℃になりますが4~35℃の範囲で発芽可能です。
下の「白菜栽培表」を参考にして、適切な時期に種まきするようにしましょう。
2.作りやすい品種を選びましょう。
極早生~晩生まで多くの種類があります。
耐病性のある品種を選んだ方が作りやすく失敗する事が少なくなります。
- 極早生の「お黄にいり」、「晴黄60」
- 早生の「黄ごころ65日」
- 中晩生の「あまうま黄芯白菜」、「黄ごころ85日」などがおすすめになります。





- 品種を選ぶ際は、近所の経験者に相談するのも良い方法です。
3.ポットは小さくてもOKです。
本葉5枚程度で定植するので大きめのポットは必要ありません。
6cmポットか25穴のトレイで十分です。
また、10株程度の栽培でしたら、ホームセンターなどでポット苗を購入した方がお得で手間も省けます。


4.培土は購入した方が失敗しない。
保水、水はけが良く、適度な肥料分を含んだ土を選んで下さい。
自作で種まき培土を造るのは時間もコストもかかるので、ホームセンターなどで購入できる「種まき用培土」がおすすめです。
根張りも良く定植時の植え痛みが殆どありません。
5.揃って発芽させましょう。
種まき用培土に十分水分を含ませることがポイントになります。
たっぷり水を撒き一時間以上放置するか、水を撒きながらかき混ぜることで馴染ませることが出来ます。
馴染んだら真ん中に小さなくぼみをつくり3~4粒まきにします。
バーミキュライトや川砂で、くぼみが隠れる程度の覆土をして完了です。(厚い覆土は不揃いの原因になります)


覆土は浸透圧で湿ってきますので、散水する必要はありません。
乾燥を防ぐため、新聞紙を一枚被せておくのも良い方法です。
6.良い苗を育てるために。
- 3日位で発芽するので、その間は新聞紙を被せるなど水分の蒸発を抑えます。
- 発芽したら寒冷紗で覆い、暑さと害虫を防除します。
- 日当たりの悪い場所に置くと徒長するので注意して下さい。
(白菜は太陽が大好きです)
- 気温が高い時期なので乾燥させないよう、毎朝潅水するようにしましょう。
特に育苗後半は蒸散量が増えるのでたっぷり潅水をして下さい。(夜露にあてることも忘れないで下さい)
- 一週間ほどで本葉が見えてきますので2本に間引きます。
(引き抜くと良い苗も一緒に抜けることがあるので、ハサミでカットして下さい)
- 本葉2~3枚のころ1本にし、より健全な苗を確保しましょう。
(この時もハサミでカットします)



- 本葉5枚程の頃に定植となります。
2.畑の準備をするポイント
1.白菜が好む場所を選びましょう。
- 水はけが良く、日当たりの良い場所を好みますので、朝日が遅く湿った場所は避けた方が良いでしょう。
- 連作障害があります。2~3年は白菜をつくっていない場所が適切です。
2.土壌PHは6~6.5が理想です。
酸性が強いと「根こぶ病」などの病気が発生しやすくなるので、測定器で測ってみることをお勧めします。
土壌PH測定器は高価で手が出せないイメージがありますが、比較的安価なものも存在します。
「シンワ測定 土壌酸度計 A 72724」などが人気で、家庭菜園で使用するには十分なレベルです。
3.畑の準備は早めに行いましょう。
定植した苗がスムーズに肥料吸収できるよう、2週間前には施肥耕運を済ませておきましょう。
- 元肥 → (1㎡当たり120~150g) (N:P:K=8:8:8:8)の配合肥料
- 苦土石灰 → (1㎡当たり120~150g)
- 堆肥 → (1㎡当たり2~3㎏)が目安となります。
定植の一週間前頃から畝立てを行います。
一条植では畝幅60~80㎝、2条植では120~140㎝の平畝が基準になります。
水はけを良くするため、畝は高めの方が良いでしょう。
3.定植のポイント
1.定植前の防虫対策をする。
今まで順調に育ってきた苗も、定植後は害虫に侵される危険性が高くなります。
何の準備もしないと、必ずアオムシやヨトウムシの食害にあってしまいます。
そのため「防虫ネット」で侵入を防ぐか、プロも行っている「薬剤の灌注処理」を行います。
- 防虫ネットは定植後すぐに張り、裾は土を被せて隙間が無いようにします。
- 灌注処理は「プレバソンフロアブル5」の100倍液を前日に処理しておきます。
薬剤の灌注処理の方が効果は高いですが、無農薬にこだわる方は防虫ネットを張りましょう
2.定植する苗の大きさ。
定植する苗の大きさは本葉4~5枚の時に行って下さい。
この時が植え痛みせず、スムーズに活着してくれるタイミングです。


ポット内の根張りが弱く、取り出したとき土が崩れるようでしたら2~3日遅らせてみましょう。
3.定植の株間を決める。
白菜は結球前まで外葉を大きく広げるので、株間を広めにすることが大きく育てるコツです。
- 早生種は結球までの日数が短いので、株間は40~45㎝位にします。
- 中晩生はかなり大きく外葉を広げるので、株間を50~55㎝にして大きく育てましょう。
4.スムーズに活着させる植え方
活着の良し悪しが今後の成長に大きく関わってきます。
乾いた土に植えてしまうと、白菜の細い根は土に水分を奪われ傷んでしまいます。
後でたっぷり水をやっても、傷んだ根は元通りにならないので活着が遅れてしまいます。
そのため植える前に土を湿らせておくことをおすすめします。


植え付けの手順
- ポットより少し大きめの穴を掘る。
- 植穴にたっぷり潅水し水が引くのを待つ。
- 根鉢を崩さないように丁寧に取り出し、茎が埋まらないくらいの浅植えにする。
- 株元に土を寄せ軽く押さえて安定させる。(強く押さえると通気が悪くなる)
- 最後にもう一度タップリ潅水する。
4.定植後の管理ポイント
1.定植後と結球前に潅水をする。
- スムーズに活着させることがその後の生育に大きく関わってきます。
定植後の一週間程度は毎朝潅水を行い、活着を促進しましょう。
- 結球し始めるころは水分要求量が増えるので、雨が降らない時は水をやりましょう。


2.大きく育てるための追肥
白菜は外葉が大きくならないと結球しないことがあるので、追肥は必ず行いましょう。
雨の前に行うのが効果的です。雨が期待できない時は潅水しておくと良いでしょう。
- 一回目は定植後10~15日頃の、まだ葉が重なっていない時に行います。
1平方メートル当たり、軽く一握り(30~50ℊ)の化成肥料を株の周りに撒き、除草を兼ねて中耕と土寄せも行います。
葉に化成肥料が付くと、葉焼けしますのですぐに取り除いて下さい。
- 二回目は葉が立ち始めたころに行います。
この頃が最も肥料吸収の盛んな時期です。
肥料切れしないために、1平方メートル当たり、軽く一握り(30~50ℊ)の化成肥料を株間に撒きます。
この頃は地表近くに細かい根が張っているので、中耕せず軽く土と混ぜる程度にしましょう。


3.病害虫の防除
白菜の栽培で最も悩まされるのが病害虫です。
病気や害虫が発生してしまったら、薬剤散布に頼ってしまいがちです。
しかし、家庭菜園ではできるだけ薬剤散布に頼らないで栽培したいものですね。
そこで以下に示している、薬剤散布以外の防除法を試して下さい。
病気について
- 「耐病性の品種」を選択する。
- 「土壌PH」を6~6.5の範囲で栽培する。
- 「連作」はしない。2~3年白菜を作っていない場所で栽培する。
- 「種まき時期」に気を付ける。
以上のことで、かなり高い確率で発生を抑えることが出来ます。
農薬を使用せざるを得ない時は、以下の表を参考にして下さい。
病気の症状 | 病名 | 特徴 | 農薬 |
株元の葉や芯が腐ってくる。 | 軟腐病 | 急速に萎れて腐敗し、独特の悪臭がする。 多肥料、長雨などの場合発生しやすい。 |
スターナ水和剤 バリダシン液剤5 |
尻腐病 | 主に収穫期に発生。初めに外葉が地面に接した部分に、淡褐色の小斑点ができ次第に大きくなる。 | ソタールWDG | |
菌核病 | 株元から腐敗が進み、急速に株の芯にまで達する。軟腐病のような腐敗臭は無い。 | ロブラール水和剤 トップジンM水和剤 |
|
葉に斑点ができる | ベト病 | 葉脈に沿って淡褐色の角斑ができる。 葉の裏側には灰白色で霜状のカビが確認できる。 |
ダコニール1000 ストロビーフロアブル |
白斑病 | 古い葉に灰白色の小斑点ができ、5~10mm程度の病後に拡大する。 | ||
黒斑病 | 古い葉に中心が茶色で、周りが黄色の病斑ができる。 |
害虫について
- 「防虫ネット」が効果的で、隙間無く被せることがポイントになります。
無農薬で防虫ネットをしない場合、非常に高い確率で害虫が発生し、ひどい場合は収穫できなくなってしまいます。
農薬を使用せざるを得ない時は、以下の表を参考にして下さい。
害虫の種類 | 特徴 | 農薬 |
イモムシ類 | モンシロチョウや蛾の幼虫で葉を食害し穴をあける。 種類や幼齢によって緑色、褐色、黒など様々な色をしている。 |
プレバソンフロアブル5 フェニックス顆粒水和剤 |
アブラムシ | 1~2ミリの虫。葉の裏に群がって葉の汁を吸う。 汁を吸う時にウイルス病を媒介することもある。 |
スタークル顆粒水溶剤 アドマイヤ―フロアブル |
ダイコンハムシ | 4ミリ程度の黒っぽい虫。 幼虫、成虫とも食害し、小さな穴を多数開ける。 |
アクセルフロアブル |
4.収穫の時期


結球している白菜の頂部を、手の平で押さえてみます。
かたく締まっていれば収穫できる状態です。
外葉を開いて斜めに倒し、包丁などの刃物で切り取り収穫します。
5.冷害対策
白菜は寒さに強い方ですが、霜や寒風にさらされ続けると頂部がカサカサになりやがて腐り始めます。
越冬させるためには外葉で結球部を包み、頂部をワラやビニール紐で縛ります。
この方法で2月頃まで畑で越冬させることが出来ます。
まとめ
白菜は結球しなかったり、虫の食害で収穫できなかったりと、栽培が難しいと考えている方も多いと思います。
しかし、「種まきの時期」、「定植のタイミング」、「追肥のタイミング」、「ネットによる防虫対策」などに気を付ければ比較的簡単に栽培できます。
また、生育初期は特に成長が早いので、日ごとに大きくなっていくのが楽しみになります。是非栽培して欲しい野菜の一つです。
以上、白菜の栽培方法でした。 実際に栽培した記録もご覧ください。