大根は春まきとの夏秋まき2つの作型がありますが、ここでは比較的栽培しやすい夏秋まきを紹介します。
比較的やせた土地でも育ちますが、日当たり、水はけの良い場所を好みます。
根菜類なので畑は深く細かく、丁寧に耕すことがポイントになります。
難易度:
目 次
1.畑を準備するポイント
1-1 大根に適した場所を選ぶ
1-2 土壌PHは5.5~6.5
1-3 畑の準備は丁寧に
2.種まきのポイント
2-1 種まきの時期
2-2 作りやすい品種
2-3 畑に直播する
1.畑を準備するポイント
1.大根に適した場所を選びましょう。
- 水はけが良く、日当たりの良い場所を好みます。
- 連作可能ですが2~3年は大根をつくっていない場所が適切です。
- 土の深さは30㎝以上が理想です。土の量が少ない畑では高畦にしましょう。
2.土壌PHは5.5~6.5が適切です。
- 比較的広い範囲(PH5.0~7.0)で栽培可能ですが、大根が好むのはPH5.5~6.5位です。
測定器で確認されることをおすすめします。 - 土壌PH測定器は高価で手が出せないイメージがありますが、比較的安価なものも存在します。
「シンワ測定 土壌酸度計 A 72724」などが人気で、家庭菜園で使用するには十分です。
3.畑の準備は丁寧に行いましょう。
- 昔から「大根十耕」と言われているように、土は深く細かく耕しましょう。
水分の多い時は耕すのに適していません。耕しても塊ができる時は乾いてからにしましょう。 - 大根は根の先端部分が障害物に触れると、分かれて又根になってしまいます。
石や植物の残骸などは丁寧に取り除いておきましょう。
また、藁などの未完熟な堆肥も投入しないようにします。 - 大根は肥料分の少ない土地でもよく育ちます。
種まきの2週間前に施肥耕運済ませ、肥料は控え目にしましょう。
元肥(1㎡当たり100g) (窒素:8 リン酸:8 カリ:8)の配合肥料
苦土石灰(1㎡当たり100g)
堆肥(1㎡当たり2㎏)が目安となります。 - 種まきの一週間前頃から畝立てを行います。
一条植では畝幅60~80㎝、2条植では120~140㎝の平畝が基準になります。
水はけを良くするため、畝は高めの方が良いでしょう。
土の水分量が多くて塊ができる場合は乾いてから行いましょう。
2.種まきのポイント
1.種まき時期を確認しよう。
早まきだと病気や生理障害が発生しやすく、遅まきだと温度不足で根部が十分に肥大しません。
「夏秋まき大根の栽培表」を参考にして、適切な時期に種まきするようにしましょう。
生育時期における適正な気温
生育初期 (種まきから15日位) | 平均気温24℃が適温になりますが、24℃より高くても大丈夫です。 |
生育中期 (種まき15日~35日位) | 25℃を超えると根の肥大が衰えます。 |
生育後期 (種まき35日~) | 栽培しやすいのは平均気温15℃前後、25℃を超えると病気や生理障害が多発します。 |
2.作りやすい品種を選ぼう。
大根は古くから作られている野菜なので、たくさんの品種があります。
たくさんあり過ぎて選び切れないと思いますので、今回は一般的な青首大根をおすすめします。
その中でも「タキイ耐病総太り」は作りやすく、ス入りが遅いので長期間収穫できる品種です。
また、葉にトゲトゲが無いので扱いやすく、葉も美味しく食べることが出来ます。
3.直接畑に種をまきます。
大根は最初に長い根を伸ばすので移植はしません。直接畑に種をまきましょう。
直径5~6㎝、深さ1㎝程度のくぼみを作り5~6粒撒きにします。
株間は25~30㎝にします。
その後、くぼみが隠れるほどの覆土をし、たっぷり水をやれば完了です。
牛乳ビンなどを使うと簡単にくぼみが造れます。
乾けば水をやりますが、乾燥防止のために籾殻を被せておくのも良いでしょう。
3.間引きと追肥のポイント
1.良い大根を残すため間引きは3回行います。
残った苗を傷つけないように注意して間引きます。
双葉が開き、本葉が少し見えてきたら3本立ちにします。
形が悪く小さい苗を間引き、しっかりした苗や、双葉が畦と平行に開いた苗を残します。
本葉が2~3枚の時、2本立ちにします。
葉の色が濃く、地面と水平に葉を広げている苗は、
根が真っすぐに伸びていない可能性があるので間引いてしまいましょう。
本葉が5~6枚の時、一本立ちにします。
これで一番優秀な苗が残り、立派な大根に育ってくれます。
2.追肥と中耕土寄せを行います。
三回目の間引きが終わった後、1平方メートル当り、軽く一握り(30g程)の化成肥料を株の周りに撒き、除草を兼ねて中耕と土寄せも行います。
葉に化成肥料が付くと、葉焼けしますのですぐに取り除きましょう。
肥料が多すぎると葉が茂りすぎ、曲がりが多くなるので控えめにします。
土寄せは株の安定と、根の酸欠を防ぐ意味でも重要な作業になります。
4.生育中後期の管理ポイント
1.害虫の防除
- アオムシなどの「イモムシ類」や、幼虫・成虫とも食害する「ダイコンハムシ」、群がって葉の汁を吸う「アブラムシ」が主な害虫です。
- 無農薬栽培では種まき後から防虫ネットで隙間なく覆います。
一般的な防虫ネットは1㎜目なので、孵化したての幼虫やアブラムシは防ぎきれません。
より細かい0.6㎜目の防虫ネットも販売されていますが、完全に防ぐことはできないようです。 - アブラムシは「キラキラテープ」を張ることで、あまり寄ってこなくなります。
- 生育初期に限って薬剤散布で害虫を防ぐのも一つの方法です。
大根の主な害虫と使用農薬
害虫の種類 | 特徴 | 農薬 |
イモムシ類 | モンシロチョウや蛾の幼虫で葉を食害し穴をあける。種類や幼齢によって緑色、褐色、黒など様々な色をしている。 | プレバソンフロアブル5 フェニックス顆粒水和剤 |
アブラムシ | 1~2ミリの虫。葉の裏に群がって葉の汁を吸う。汁を吸う時にウイルス病を媒介することもある。 | スタークル顆粒水溶剤 アドマイヤ―フロアブル |
ダイコンハムシ | 4ミリ程度の黒っぽい虫。幼虫、成虫とも食害し、小さな穴を多数開ける。 | アクセルフロアブル |
2.病気の予防
薬剤を使わないで病気を予防する方法は以下の5つになります。
- 抵抗性品種を選ぶ
タキイ耐病総太り」は耐病性のある作りやすい品種です。ロングセラーを続ける良質の青首総太りダイコンで、全国で作られています。 - 早まきをしない
早まきだと病気や生理障害が発生しやすくなります。 - 連作をしない
比較的連作に強いと言われていますが、連作を続けることで病気発生のリスクは高くなります。 - モザイク病はアブラムシの侵入を防ぐ
モザイク病はアブラムシが媒介すると言われています。
キラキラテープや細めの防虫ネットでアブラムシの侵入を防ぎましょう。 - 肥料を控え目にする
肥料を多く与えると葉が茂り過ぎ、風通しが悪くなります。
湿度が高くなって病気が発生しやすくなるので、肥料は控えめにしましょう。
大根は肥料が少な目でも十分に育ちます。
この5つの方法で、病気の発生を高い確率で抑えられます。
もし病気が発生した場合や、病気の発生が心配な時は薬剤散布を行いましょう。
大根の主な病気と使用農薬
病気の種類 | 特徴 | 農薬 |
軟腐病 | 葉が萎れはじめ、やがて葉の基部や根頭部から腐りはじめる。独特の悪臭がする。高温時や、長雨などで土壌湿度が高い場合に発生しやすい。 | ナレート水和 Zボルドー水和剤 |
黒斑細菌病 | 葉に小さな斑点ができ、のちに黒褐色に変化する。やがて根頭部に広がる。温暖で雨が続いた時に発生しやすい。 | Zボルドー水和剤 |
白さび病 (わっか症) |
葉の裏面に乳白色の小斑点ができる。 多発すると根部にわっか症ができる。 |
ダコニール1000 |
ベト病 | 葉に黄緑色の斑点ができ、やがて葉脈に沿った角斑点になる。根部に発生すると黒いシミができる。 | Zボルドー水和剤 |
炭疽病 | 葉に小さな青白色の斑点ができ、後に灰褐色、白~灰白色の丸い小斑点となる。その後、融合して不整形な褐色になる。 | ダコニール1000 |
5.収 穫
根の直径が7㎝位になったら収穫できます。
根元をもってゆっくり引き抜きます。
この時、葉だけを持つと千切れることがあるので、根の部分もしっかり持つようにしましょう。
また、真っすぐ上に引き抜かないと根の部分が折れるので注意してください。
長く保存させたい場合は葉を切り落とし、土付きのまま新聞紙で包み冷暗所に置いておきましょう。
まとめ
「大根十耕」と言われているように、深く細かく耕すことがまず一番のポイントになります。
土が硬かったり、水はけが悪かったりすると良い大根は育ちません。
雨が降っても水が溜まりにくい、溜まってもすぐに引く場所を選び、深く、細かく耕して栽培して下さい。
きっと良い大根が育つと思います。
以上、夏秋まき大根の栽培方法でした。 実際に栽培した記録もご覧ください。