地中海地域が原産で日本に初めて導入されたのが明治初期、一般に普及しはじめたのは昭和40年(1965年)以降になります。
栄養価の高い緑黄色野菜として認知されだした、1982年以降から急速に人気が出始めました。
栽培は比較的容易ですが、アオムシなどの害虫対策を行わないと収穫できないこともあります。
ここでは簡単で効果の高い害虫対策も紹介しています。
難易度:
目 次
1.種まきのポイント
1-1 思っているより早い時期に種を撒く
1-2 品種は何が良いのか
1-3 育苗ポットについて
1-4 種まき培土は購入する
1-5 種まきは簡単です
1-6 育苗管理のポイント
2.畑を準備するポイント
2-1 ブロッコリーに適した場所
2-2 土壌PHは6~6.5
2-3 畑の準備は早い目に
3.定植のポイント
3-1 定植前の防虫対策
3-2 定植苗の大きさ
3-3 定植の株間を決める
3-4 スムーズに活着させる植え方
4.定植後の管理ポイント
4-1 活着促進の潅水
4-2 大きく育てるための追肥
4-3 病害虫の防除
4-4 収穫時期(タイミング)
1.種まきのポイント
1.思ったより早い時期に種まきをする
地域により異なりますが暑い夏(7月初~9月初)が、種まきの時期になります。
地域や品種を考慮し、適切な時期に種まきすることをおすすめします。
極端な早まきは病害虫に侵されやすくなり、遅まきでは温度不足により外葉の成長が極端に悪くなります。
発芽適温は20~25℃になりますが4~35℃の範囲で発芽可能です。
「ブロッコリー栽培表:夏秋まき」を参考にして、適切な時期に種まきするようにしましょう。
2.品種は何が良いのだろう
早生~晩生までさまざまな種類があり、頂花蕾だけを収穫するものと、脇芽も収穫できる2つのタイプがあります。
家庭菜園で栽培するのであれば、脇芽も収穫できるタイプがおすすめです。
おすすめする品種
極早生種 | シャスター | 7月中旬播種で10月に収穫できる | 頂花蕾・脇芽兼用 |
中早生種 | ハイツSP | 定植後65日で収穫できる | 頂花蕾・脇芽兼用 |
中晩生 | グリーンビューティー | 種まきから収穫まで120日~ | 頂花蕾・脇芽兼用 |
晩 生 | エンデバーSP | 種まきから収穫まで150日~ | 頂花蕾・脇芽兼用 |




3.育苗するときのポット
通常、本葉5~6枚の苗を定植しますので、比較的大き目(7.5~9㎝)のポットを使用します。
農家さんが使用する機械植えでは、本葉3枚程度の小苗を植えますので、本葉5~6枚まで大きくしなくても定植することはできます。
その場合、大きめのポットは必要ありません。6cmポットか25穴のセルボックスで十分です。



また、少量(5~6株程度まで)の栽培でしたら、ホームセンターなどでポット苗を購入した方がお得で手間も省けます。
4.種まき培土は購入しましょう
保水、水はけが良く、適度な肥料分を含んだ土を選んで下さい。
自作で種まき培土を造るのは時間もコストもかかるので、ホームセンターなどで購入できる「種まき用培土」がおすすめです。
根張りも良く、定植後の活着がスムーズに行われます。
5.種まきは簡単です
種まき用培土に十分水分を含ませることがポイントになります。
たっぷり水を撒き一時間以上放置するか、水を撒きながらかき混ぜることで馴染ませることが出来ます。


馴染んだら真ん中に小さな窪みをつくり3~4撒きにします。
窪みが隠れる程度の覆土をして完了です。(好光種子のため覆土は少なめにしましょう)
覆土は浸透圧で湿ってきますので、散水する必要はありません。
6.育苗管理のポイント
- 3日位で発芽するので、その間は新聞紙を被せるなどして水分の蒸発を抑えます。
- 発芽したら寒冷紗で覆い、暑さと害虫を防除します。
- 日当たりの悪い場所に置くと徒長するので注意して下さい。
- 気温が高い時期なので乾燥による萎れを起さないよう、毎朝潅水するようにしましょう。
潅水のやり過ぎは徒長したり、根張りが悪くなったりするので注意が必要です。 - 一週間ほどで本葉が見えてきますので2本に間引きます。
- 本葉2~3枚のころ1本にし、より健全な苗を確保しましょう。
- 本葉5枚程の頃に定植となります。(根鉢が張っていれば本葉3枚程度でも定植可能です)
2.畑の準備をするポイント
1.ブロッコリーに適した場所を選びましょう。
- 水はけが良く、日当たりの良い場所を好みます。ブロッコリーは湿った場所を特に嫌うので注意しましょう。
- 作障害があります。2~3年の間を開けて栽培しましょう。
2.土壌PHは6~6.5が理想です。
酸性が強いと「根こぶ病」が発生しやすくなります。
測定器で測り、酸性が強いようであれば苦土石灰などでPHは6~6.5に調整しましょう。
土壌PH測定器は高価で手が出せないイメージがありますが、比較的安価なものも存在します。
「シンワ測定 土壌酸度計 A 72724」などが人気で、家庭菜園で使用するには十分なレベルです。
3.畑の準備は早目に行いましょう。
- 定植した苗がスムーズに肥料吸収できるよう、2週間前には施肥耕運を済ませておきましょう。
・元肥(1㎡当たり150g) (窒素:8 リン酸:8 カリ:8)の配合肥料
・苦土石灰(1㎡当たり150g)
・堆肥(1㎡当たり2~3㎏)が目安となります。 - 定植の一週間前頃から畝立てを行います。
一条植では畝幅60~80㎝、2条植では120~140㎝の平畝が基準になります。
水はけを良くするため、畝は高めの方が良いでしょう。
3.定植のポイント
1.定植前に防虫対策をする。
今まで順調に育ってきた苗も、定植後は害虫に侵される危険性が高くなります。
何の準備もしないと、必ずアオムシやヨトウムシの食害にあってしまいます。
- 「防虫ネット」で侵入を防ぐか、プロも行っている薬剤の灌注処理を行います。
防虫ネットは定植後すぐに張り、裾は土を被せて隙間が無いようにします。 - 灌注処理は「プレバソンフロアブル5」の100倍液を前日に処理しておきます。
薬剤の灌注処理の方が効果は高いですが、無農薬にこだわる方は防虫ネットを張りましょう。
2. 定植する苗の大きさ
小さいポットの場合は本葉3枚程度の時に、大き目のポットの場合は本葉5~6枚の時に行って下さい。


・根鉢が張っていれば若苗の方がスムーズに活着しますので、遅れないようにしましょう。
・ポット内の根張りが弱く、取り出したとき土が崩れるようでしたら4~5日遅らせてみましょう。
3. 定植の株間を決める
頂花蕾のみを収穫する品種は株間35㎝で、頂花蕾・脇芽兼用を収穫する品種は少し広目の株間40㎝が標準です。
葉を大きく育てることが充実した花蕾の発生を促しますので、株間は少し広目の方が良いでしょう。
4. スムーズに活着させる植え方

乾いた土に植えてしまうと、根の水分が土に奪われ傷んでしまいます。
後でたっぷり水をやっても、傷んだ根は元通りにならないので活着が遅れてしまいます。
そのため植える前に土を湿らせておくことをおすすめします。
植え付けの手順
- ポットより少し大きめの穴を掘る。
- 植穴にたっぷり潅水し水が引くのを待つ。
- 根鉢を崩さないように丁寧に取り出し、双葉が埋まらない程度のやや深植えにする。
- 株元に土を寄せ軽く押さえて安定させる。(強く押さえると通気が悪くなる)
- 最後にもう一度タップリ潅水する。
4.定植後の管理ポイント
1.活着促進の潅水
スムーズに活着させることが、その後の生育に大きく関わってきます。
・定植後の一週間程度は毎朝潅水を行い、活着を促進しましょう。
・夕方には土の表面が乾いている位の潅水が理想です。(基本、夕方には潅水しません)
2.大きく育てるための追肥
追肥で葉や茎を大きく育てることが、良いブロッコリーを作るポイントです。
早生種と晩生種では栽培期間が違うので、追肥の方法も少し違ってきます。
早生種は追肥を2回行う
- 一回目は、定植から10日前後に化成肥料(8:8:8)を一平方メートル当たり40~50g施します。
- 二回目は、一回目の追肥から15~20日後に同量を施します。
中晩生種は追肥を3回行う
- 一回目は、定植から10日前後に化成肥料(8:8:8)を一平方メートル当たり50~60g施します。
- 二回目は、生育中期に一回目と同じ量を施します。
- 三回目は、花蕾発生後すぐに一回目と同じ量を施します。
・追肥の後に中耕と土寄せを行うと効率よく作業できます。
・葉に化成肥料が付くと、葉焼けしますのですぐに取り除いて下さい。
・雨の前に行うのが効果的です。雨が期待できない時は潅水しておくと良いでしょう。
3.病害虫の防除
ブロッコリーは比較的病気には強いですが、害虫(特にイモムシ類)の発生が多い野菜です。
何の対策もしないと、大量発生により収穫できない場合もあります。
病気について
病気に対する薬剤散布は行わなくても栽培できます。
ただし以下の4点はクリアさせておく必要があります。
- 日当たりの良い場所に植える。
日当たりの悪い場所では軟弱になりやすく、病気に対する抵抗力が弱まります。 - 水はけの良い場所に植える。
水はけの悪い場所では根張りが悪くなり健全に育たないため、病気が発生しやすくなります。 - 酸性の強い場所は避ける。
酸性が強いと「根こぶ病」が発生しやすくなります。土壌PH6~6.5に調整しましょう。 - 「連作」はしない。
連作すると健全に育たなくなります、2~3年アブラナ科の作物を作っていない場所で栽培しましょう。
害虫について
- 「防虫ネット」が効果的で、隙間無く被せることがポイントになります。
- 定植前に薬剤(プレバソンフロアブル5の100倍液)の灌注処理を行うことで、イモムシ類の発生を最大4週間抑えることが出来ます。
無農薬に拘らない場合は、花蕾発生までに1~2回の薬剤散布を行いましょう。
害虫の種類 | 特徴 | 農薬 |
イモムシ類 | モンシロチョウや蛾の幼虫で葉を食害し穴をあける。 種類や幼齢によって緑色、褐色、黒など様々な色をしている。 |
・プレバソンフロアブル5 ・フェニックス顆粒水和剤 ・アニキ乳剤 |
アブラムシ | 1~2ミリの虫。葉の裏に群がって葉の汁を吸う。 汁を吸う時にウイルス病を媒介することもある。 |
・スタークル顆粒水溶剤 ・アドマイヤ―フロアブル ・アディオン乳剤 |
4.収穫の時期(タイミング)

収穫時期を逃すと花蕾から黄色い花が出てきて品質が著しく低下するので、なるべく早めに収穫する方が良いでしょう。
脇芽が取れる品種は頂花蕾を収穫した後、5~6㎝の大きさになった脇芽を切り取ります。
脇芽はあまり大きくならないので、早目に収穫するようにしましょう。
まとめ
夏から初秋にかけて種をまき、晩秋から冬にかけて収穫するのが一般的な栽培時期になります。
水はけの悪い場所や、日当たりの悪い場所を避ければ、病気の発生も少ないのでとても作りやすい野菜です。
ただし、アオムシなどの害虫が発生しやすいので、防虫ネットか薬剤散布で予防する必要があります。
取れたてのブリッコリーは、湯がくとすぐに柔らかくなりますので、湯がき過ぎに注意して下さい。
新鮮でおいしい自家栽培のブロッコリーを是非味わってみて下さい。
以上、ブリッコリーの栽培方法でした。 実際に栽培した記録もご覧ください。